耐震診断は建物調査の基本、身近なものとして相談してほしい。

住まいのドクター

◆売るにも、住むにも、とにかく、今のお家の状態を知ることです。

住宅の状態は、その土地の気候、風土、使い方はもちろん、
その建物の状況によって大きく変わります。

その中で、どの程度、いたんできているのか、
床下はどうなっているのか、天井裏はどうなっているのか。
現状を知ってお住まいをされている人は、意外と少ないようです。

住宅、特に木造の住宅は、生き物のようなものですので、
お家を長持ちされる為にやらなければならないこともお家によって異なります。

皆様は、年一回、人間ドックや健康診断にいって、
普段目に見えない内臓や血液の状態を確認し、健康維持をするようつとめられます。

お家の状況も、少なくとも3~5年に1回ぐらいは、
どういう状況にあるのか知っておいて、今後のメンテナンスに活用されることです。

多くの方が、おうちに35年という長期間の住宅ローンを抱えて、
毎月返済を負担されています。
そんな、皆様の重要な長期の固定資産を生かすためにも、
少なくともおこなうべき管理方法かと思います。

耐震診断

◆耐震性の確認は、建物調査の「はじめの第一歩」です。

耐震診断を行うことは、建物調査の基本中の基本です。

中古住宅を購入する際、ましてや震災を受けた後など、
もし、耐震診断を中心とした建物調査を行っていなければ、
まずは、耐震診断を行うことをおすすめします。

では、耐震診断とは、何をすることでしょうか。

まず、いまのおうちを調査して安全性を診断することを耐力診断といいます。
そのなかでも、地震に対する診断の場合を特に耐震診断と言います。
診断は、周辺地盤の状態、建物の基礎の構法や状態、耐力要素の量や配置、
経年による建物の劣化などを考慮し、現在の構造工学を基に行われます。

簡単に言いますと、住宅やビルが地震に対してどの程度被害を受けにくいか
といった地震に対する強さ、すなわち「耐震性」の度合を調べるのが「耐震診断」なのです。

阪神・淡路大震災の教訓をもとに1995年(平成7年)12月25日に
「建築物の耐震改修の促進に関する法律(耐震改修促進法)」が施行されました。

この中では現在の新耐震基準を満たさない建築物について
積極的に「耐震診断」や改修を進めることとされています。

柱・床の傾きを計測します

◆耐震診断は、法律にもとづいた、資産価値向上に生かせる方法で行いましょう。

耐震診断と一口にいっても、どういったことをしてもらえるのかは、
いまいち、ピンときません。

健康診断をおこなって、結果が、良いからといって病気にならないわけではない、
という感覚に近いかもしれませんが、耐震診断によって、良い結果がでたからといって、
将来どんな地震にも倒壊しないわけではありません。

耐震診断をおこなっていただく目的は大きく二つあります。

一つは、今、新築されている住宅と比較して、
現在のお住まいの耐震性が、どの程度の位置づけになるのかがわかります。

診断結果

そして、二つ目は、この建物が、「各種瑕疵保険」
「既存住宅かし保証保険」「フラット35」「住宅ローン控除」など、
各種制度、助成金、住宅ローン減税が利用できる建物がどうかを確認することです。

これにより「耐震基準適合証明書」が発行できる建物か、
また、どうすれば発行できるのかがわかります。

耐震基準適合証明書

こういったことを行うためには、法律にもとづいた診断が必要です。
ぜひ、皆様に身近な建築士さんを、
おうちのドクターとして、定期的にご相談していただければと思います。

この春リフォーム予定の方、100万円の補助利用でより良い住まいに。

◆性能向上リフォームで100万円の補助。

先日より始まった通常国会、ここで審議されるのが、平成25年度補正予算です。
そのなかに予算付けされた事業として長期優良住宅化リフォームがあります。
今のお住まいに、耐震性や悪いところを改善して、長持ちさせるリフォームをされる方に対して、
リフォーム費用の1/3、100万円を限度に補助される制度です。
100万円って、すごいですね。
国交省の中古住宅活性化に対する事業の意気込みを感じます。
国土交通省は「中古住宅・リフォームトータルプラン」を取りまとめ、
新築中心の住宅市場から、リフォームで住宅ストックの品質・性能を高め、
流通を通じ循環利用されるストック型の住宅市場へ転換を図っています。
この補助金事業も、今ある住宅を、よりよいものにして、
しっかり価値をあげて売れるものにしようというプログラムの一貫ですね。

補助対象リフォーム工事例

◆まずは、建物調査(インスペクション)が必要となります。

どんなリフォームにでも最大100万円補助されるのでしょうか。
いえいえそんなことはありません。
特に耐震性の基準と劣化対策についての基準を満たすなど、さまざまな条件があります。
そのあたりは、まず、補助事業に詳しいリフォーム事業者に相談する必要があります。
大きな要件の一つとしては、リフォーム工事前に建物調査(インスペクション)を行うことがあります。
まずは、今お住まいの建物がどういう状態なのか調査してください、ということです。
調査することによって、今の建物の耐震性や劣化状況などがわかります。
また、もう一つの要件として、工事後の維持保全計画を作成してくださいということも言われています。
工事した建物が、今後も優良化リフォームされた建物として長く使っていかれることを意味します。
こういったことを行われた建物は、売買される際にも高い価値をもって有用される可能性があります。

長期優良化リフォーム工事に要する費用

◆限られた補助金です。まずは、お近くの詳しいリフォーム事業者に相談を。

100万円の補助してもらって、建物の価値があがる可能性があるのであれば、
今、お住まいの建物を長く使いたい方、それだけでなく、
今後売却する際には少しでも高く売りたい方、そんな方にとっても良い機会ではないかと思います。

特に、高齢者の方々で、老朽化されたお家にお住まいの方を数多く拝見します。
もちろん、便利なマンションに引越しされ、土地だけの安値で建物を売却される方も多くみられますが、
せっかく長年お使いの愛着のあるお家を離れられない方もたくさんいらっしゃいます。
いまの生活を、より健康的で、より快適に過ごすため、
また、将来、価値の高い資産を残すためにもぜひ活用していただきたいものです。
もちろん、平成25年度補正予算の成立次第ですので、どうなるかわかりませんが、
成立すると、遅くとも本年9月ぐらいまでには着工しなければならないものとなります。
建物調査(インスペクション)をする日程から考えても、決して時間がたっぷりあるわけではありません。
お早目にご相談されてみて、ゆっくりと、効果的な補助金の活用を検討されてはいかがですか。